池袋の車両暴走事故以降、高齢者のアクセルとブレーキの踏み間違いによる事故が注目されています。
車メーカー各社も踏み間違い加速抑制システムを標準装備にしたり、後付け部品を販売するなど様々な対策をしているようです。
踏み間違い関して調べました。
ペーパードライバーや若い方の踏み間違いを防ぐ練習方法を私自身の経験から考えてみました。
以下の記事にて解説しています。
高齢者だけじゃない!若い人でも踏み間違いの事故はある
上記のグラフは警察庁で公表されている「令和元年における交通死亡事故の発生状況等について」の報告の一部です。
死亡者が発生した自動車事故をドライバーの年齢別にまとめられています。
75歳以上の高齢者と75歳未満とで分けられていますので、20代や30代の若い世代がどれくらい死亡事故に関与しているのかはこのグラフから読み取ることはできません。
それでも事故の要因には大きな差が出ていますので参考にはなるかと思います。
年齢によって死亡事故の要因は大きく異なる
グラフではそれぞれの年齢別のドライバーが起こした死亡事故の要因は次の順に高くなっています。
■75歳以上のドライバー
- 操作不適 30%
(このうちハンドルの操作不適 15%、踏み間違い 7.8%) - 安全不確認 19%
- 内在的前方不注意(漫然運転) 19%
■75歳未満のドライバー
- 内在的前方不注意(漫然運転) 27%
- 安全不確認 26%
- 外在的前方不注意(脇見等) 22%
操作不適に含まれる踏み間違いによる死亡事故は75歳以上のドライバーで多く起こっています。
しかし、75歳未満のドライバーによる死亡事故の0.6%は踏み間違いによるものですので、高齢ドライバーではないからといって起こらないわけではありません。
操作不適事故の年齢別比較
上の図は交通事故総合分析センターが発表した論文『アクセルとブレーキペダル踏み間違い事故の特徴と対策』内に掲載されているグラフです。
少し古いデータですが、操作不適が原因で起こった事故の要因を年齢別にまとめたグラフとなっています。
ペダルの踏み間違いの割合は75歳以上で大幅に上昇していますが、24歳以下の年齢層も25~64歳までと比較すると高い数値を表しています。
若年層も踏み間違いによる事故を起こしうる可能性は十分にあるのです。
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なぜ踏み間違いで事故になってしまうのか?
なぜ踏み間違いで事故になってしまうのでしょうか?
どのようなシーンで踏み間違い事故になってしまうのか、年齢別に調べたグラフを発見しました。
踏み間違による事故の発生場所の割合
上の図は交通事故総合分析センターが発表した論文『アクセルとブレーキペダル踏み間違い事故の特徴と対策』内に掲載されているグラフです。
ペダルの踏み間違いによる事故がどのような場所で発生したかを年齢別に表したグラフとなっています。
過去は平成14~18年、現在は平成24~28年のデータを表しています。
いずれの年代・時期においても最も高い数値を表しているのが「一般交通の場所(駐車場等)」です。
ニュースで報道される踏み間違いによる事故は、駐車(駐車からの発進も含む)をしようとして建物に突っ込んでしまった事故が多い印象がありましたが、実際に駐車に関わる踏み間違い事故が多いようです。
グラフでは過去と比較して現在の駐車場等の踏み間違い事故が減少しているのは車の安全装備の発展によるものと思えますが、それでも他の要因と比較すると群を抜いて高い割合を示しています。
このことから、多くのドライバーにとって踏み間違いのリスクが高いのが駐車をしている時であることが窺えます。
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なぜ駐車場での踏み間違い事故が多いのか?
では、なぜ駐車場では踏み間違い事故が多いのでしょうか?
データに基づくものではなく、あくまで個人的な考えではありますが、駐車をする際に繊細なハンドル捌きとペダル捌きが要求されることが要因の一つではないかと思います。
駐車をする際には切り返し・幅寄せをしなければならないシーンが多くあります。
これらの作業はハンドルを小まめに動かしつつ、足はアクセルとブレーキを何度も入れ替えればなりません。
ただ直線を走るのとは異なり2つの動作を同時に行わなければならず、しかも頭でも次に車を動かすべき方向を考えるという複雑な作業を行っている状態です。
ペダルを踏みかえる時の足の動かす幅が足りていなかった、自分がアクセルとブレーキどちらのペダルを踏んでいるのかが分からなかった等の要因から踏み間違えを起こしてしまうのではないかと考えています。
『アクセルとブレーキペダル踏み間違い事故の特徴と対策』ではアクセルとブレーキを踏み間違え事故の人的要因(身体的・精神的要因)で最も多い要因を「焦り・パニック」だとし、次に高い要因を「高齢」だとしています。
「焦り・パニック」が踏み間違いを起こす最大の人的要因ですので、当然ながら若年層でも踏み間違いによる事故は発生してしまうのです。
特に免許を取得してから日が浅い方や、運転経験の少ないペーパードライバーは注意が必要でしょう。
「自分は車庫入れが苦手だ」と思っている方や、自分のすることで他の誰かを待たせてはいけないと考えがちな(言い方は悪いですが)神経質な方も踏み間違いの危険があると考えられます。
運転経験の少ない方、駐車に苦手意識のある方は何度も駐車の練習をして車の動かし方をしっかり理解することによって、思い通りに車を動かせない焦りやパニックに陥ることが減り、踏み間違いの可能性を減らせるのではないでしょうか。
人を待たせること・迷惑をかける事に抵抗感のある方は、事故を起こすことが最も迷惑をかけるということを常に意識しておけば、少しは心が楽になるかもしれません。
それでは踏み間違いが事故に発展するか否かの最大の要因が何であるのか。
それこそが2つめ人的要因の「高齢」ではないでしょうか。
加齢によって判断能力・運動能力が鈍り、若い頃であれば出来た咄嗟にペダルを踏みかえるという動作が出来なくなっているのではないかと予想しています。
上記のグラフ「図1」でも75歳以上のドライバーは他の年代と比較して踏み間違いによる事故の割合が2倍高いことから、あながち間違いではないのではないでしょうか。
加齢による踏み間違いをなくすことは人間である以上難しいことですが、近年では踏み間違いによる事故防止のための安全装置が付いている車も増加しています。
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踏み間違い防止装置を搭載している車が増えている
近年では踏み間違いによる事故を防止するため、急発進(誤発進)抑制機能の装着されている車も増加しています。
上の図は国土交通省が発表した「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」の作動をビデオで解説するための添付資料です。
資料によれば新車の踏み間違い時加速抑制システムの装着率は2017年時点で65.2%に上っています。
現在ではもう少し増えているかもしれませんが、あくまで新車の装着率です。
車の販売の主流は中古車となっておりますので、実際に踏み間違い防止装置が付いている車はこのグラフほど多くはないでしょう。
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踏み間違い加速抑制システムは後付けできるタイプもある
踏み間違い加速抑制システムは事故を防止するのに一定の効果が期待できます。
しかし、加速抑制システムのためだけに車を買い替えるのも金銭的に大きな負担となってしまいます。
そのため、車メーカー各社では今の車に後付けできる踏み間違い加速抑制システムの販売もしています。
トヨタ | 踏み間違い加速抑制システム 踏み間違い加速抑制システムⅡ |
ホンダ | 踏み間違い加速抑制システム |
日産 | 後付け踏み間違い加速抑制アシスト |
スバル | ペダル踏み間違い時加速抑制装置 ペダル踏み間違い時加速抑制装置 「つくつく防止」 |
スズキ | ふみまちがい時加速抑制システム |
ダイハツ | ペダル踏み間違い時加速抑制装置「つくつく防止」 |
三菱 | ペダル踏み間違い時加速抑制アシスト |
取り付けが出来る車種は限られています。
詳しくは各社の公式サイトをご覧ください。
他にもオートバックスで踏み間違い防止システム「ペダルの見張り番Ⅱ」の販売・取付工事を行っています。
200種以上の車種に取り付け可能とのことですので、踏み間違い防止システムを後付けしたい方は適合車種を確認されると良いと思います。
踏み間違い事故は対策をたてておくのが安心
踏み間違いによる事故が起こりやすい年齢や要因を解説しました。
高齢者だけでなく若い人でも踏み間違いは多く、若いからと言って過信は禁物です。
人間である以上、注意していても失敗は起こり得ます。
アクセルとブレーキペダルの踏み間違いをした時に最悪の事態にならないためにも、踏み間違い防止装置を装着しておくなど対策を立てておくのが安心です。
ペーパードライバーや若い方の踏み間違いを防ぐ練習方法を私自身の経験から考えてみました。
以下の記事にて解説しています。
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